住宅ローンが払えない.jpの管理人です。
成年後見人の仕事は財産管理と身上監護です。
社会全体の高齢化に伴い、認知症を抱える人が急増しています。
認知症はアルツハイマー病などにより脳の機能が衰え、
記憶力や判断能力に障害が現れた状態です。
東京都福祉局が行った調査では、都内在住の高齢者のうち、
何らかの認知症状を示す人は13.7%にのぼります。
高齢者の7人に1人以上が認知症を抱えていることになり、
最近では任意売却を行う際に大きな妨げになるケースが見られます。
認知症は、記憶力や時間・場所等の見当識が損なわれる他、
ものごとを論理的に考える能力も衰えます。
症状の程度によりますが、自身のメリット・デメリットなどを把握して、
判断を下す事が難しい場合には、不動産の売却について正しく理解して判断する能力、
意思能力がないと見なされます。
意思能力がない人は契約等の法律行為ができないため、
自身が所有する不動産の任意売却も不可能です。
西村さんのケースは典型的な例ですが、そのような場合は本人の代理として、
様々な手続き等を行うために成年後見人を立てる事が必要です。
成年後見人とは、何らかの障害により判断能力が不十分な状態の人が、
不利益を被らないよう支援する役割を担う人の事です。
成年後見人を立てる時には家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
申し立てを行えるのは本人の他、配偶者や四親等以内の親族、市町村長に限られます。
申し立てを受けて家庭裁判所が審査を行い、申立時に候補者が挙げられている場合には、
その人が適格であるかどうかを判断します。
成年後見人には欠格事由も設けられていますが、
その条件に当たらない人なら誰でも候補になる事ができます。
欠格事由は以下の5つです。
①未成年者
②成年後見人等を解任された人
③破産者
④本人に対して裁判を起こした事がある人やその家族
⑤行方不明者
申し立てを受けた家庭裁判所が成年後見人の要・不要や、
誰を選任するかの審査を行った上で認定されます。
通常は家族が選任されるケースが多いのですが、
最近では少子化の影響もあり家族に適切な人が見当たらない等の理由から、
弁護士や司法書士等が職業後見人として就任するケースが増えています。
成年後見人の主な仕事は財産管理と身上監護です。
財産管理については、預貯金の預け入れや引き出し、
不動産等の重要な財産の売却や購入、住まいのリフォーム、
その他の契約等を代行します。
身上監護としては後見を受ける人が健康に暮らせるよう生活を管理したり、
治療や療養、介護等の手配・手続きを行ったりします。
したがって経済的な問題を抱えていない事や後見を受ける人の近くに住んでいて、
すぐに駆けつけられる状況にある事などが成年後見人の認定に関して重視されます。
西村さんのケースでは、本人は債務の返済に行き詰まっているため、
父親の成年後見人には相応しくないと見なされる可能性がありました。
そのため母親と姉を成年後見人の候補に選出したのです。
成年後見人には家庭裁判所に対して定期的に活動内容を報告する義務が課されています。
領収書の保管や日付を記録する等、細かい作業が必要になるため、
ある程度労力がかかると考えておく必要があります。