住宅ローンが払えない.jpの管理人です。
任意売却は債務の圧縮が目的ではありません。
あくまで依頼主の生活再建が真の目的であり、債務の圧縮はその過程に過ぎないのです。
佐藤さんの場合には任意売却で家を失う必要はありませんでした。
佐藤さんの住まいには建坪率が現在の建築基準法に抵触するという問題があったため、
売却してもかなりの安値になってしまい大きな債務が残るので、
経済的には不利益の大きい選択だったのです。
それでも佐藤さんが任意売却を希望したのは、生活を再建するのに必要と判断したためでした。
家族で暮らしていた一戸建て住宅に一人で住む佐藤さんの気持ちは後悔と未練があり、
将来を前向きに考える事ができなくなっていました。
特に娘に対する思いが強く、長女が使っていた二階の部屋は母と娘が出ていったまま、
全く手を付けていない状態でした。
掃除もせず、娘が遊びかけていたまま玩具が放置されていたのです。
見るのが辛すぎて二階に上がる事ができないのです。
家のあちこちには娘との思い出が残っており、それを消すのが寂しいので、
掃除する事もできない状態だったのです。
佐藤さんにとって、任意売却は経済的に立ち直るのと同時に、
気持ちの面でも整理して、その後の人生を前向きに生きるために必要な事だったのです。
物件を売りに出したところ、1580万円で買い手が現れました。
相場価格は1800万円程度だったので、建坪率に違反がある分、差し引かれましたが、
妥当な金額として金融機関からも承諾を得る事ができました。
売却後は次のステップとして、裁判所に自己破産を申請しました。
任意売却により返済しきれなかった住宅ローンの残債とクレジットカードの債務について、
自己破産する事で返済を免除してもらう事ができたのです。
意図したとおり、経済面の問題と気持ちの問題をクリアして、
佐藤さんは新たなスタートを切る事ができたのです。