「離婚タワマン夫婦」が陥る「住宅ローン地獄」 | 住宅ローンが払えない.jp

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「離婚タワマン夫婦」が陥る「住宅ローン地獄」

住宅ローンが払えない管理人です。

稼ぎのある共働き夫婦が離婚するときは大ピンチだ。信用力をフルに使って組んだ住宅ローンが、離婚時あだになることも(写真 : kurosuke/PIXTA)

少子高齢化、働く女性の増加など、この20年ほどの社会構造は刻々と変化しています。結婚・離婚の数を見ると、離婚件数は1995(平成7)年までは年間10万組台でしたが、それ以降は20万組台で推移。2002(平成14)年の約28万9000組をピークに徐々に減少しているものの、なお21万6000組と20万組台をキープしています。一方、結婚適齢期の若年層の減少に従い、婚姻数は減少の一途をたどっています。今回は離婚の際に問題となりやすい、住宅ローンの話をしたいと思います。

離婚は30代が最多、家を買うとき離婚リスクは考慮せず

まずは住宅の所有状況から見ていきましょう。2017(平成29年)度の夫婦の持ち家比率は、79.5%(29歳以下は33%、30代62.5%、40代80.1%)、ローン支払い中の夫婦は、39.5%(29歳以下25%弱、30代45%強、40代50%強)という状況です。

離婚は妻が30代のときにすることが多いため、ほとんどの夫婦は離婚を決断したときに多額の住宅ローンを抱えています。

自宅を購入する際、「まさか、自分たちが将来離婚する」と想定しているカップルは少ないと思います。しかし、不思議なことに、自宅の購入や家具の新調、新居への引っ越しをきっかけに、夫婦の間にヒビが入るケースが多いのです。

結婚と同時に家を持つ人はごくわずかで、ほとんどは結婚後、子どもができたり、夫婦の収入に一定の目安がついたころに、自宅の購入を考えるものです。共働きの場合、ちょうど仕事や子育てで忙しく、気持ちの余裕があまりない時期と重なります。忙しい合間をぬって、購入資金の相談や物件の内覧、モデルルームの見学、内装や家具選びに時間をとられます。

ファイナンシャルプランナーのほか、夫婦問題や住宅を専門とする私が、かつて受けた相談に、次のようなものがありました。

「家を建てたものの、妻と趣味が合わなくて耐えられないのです。自分が好きな落ち着いた和風の作りにしたのに、妻は家具をヨーロピアン調にしたんです」と相談者である旦那さんはたいそうご立腹でした。

でも、このような、性格の不一致ならぬ、趣味の不一致は結構あるのではないでしょうか。なぜそんなにも趣味が違うのに結婚したのか、不思議になります(えてして結婚はそういうものだったりするとはいえ)。

また、新築の家をきれいに保ちたいあまり、奥さんが口やかましくなり、家に帰らなくなったご主人が浮気に走るケースもありました。この場合、「新しい家庭には安らぎがない」ということでしょうか。

離婚時の「連帯債務の解消」はかなり難しい

離婚の際、かなりやっかいなのが夫婦で頭金を出し合い、共有名義にしているケースです。

「家のローンの連帯債務者になっているのですが、どうなるのでしょうか」

このような問い合わせが結構あります。最近は奥さんも旦那さんと同じくらい稼いでいることが多いため、夫婦の収入を合算して、高額な都心のタワーマンションや注文住宅を購入するケースも少なくありません。

収入合算で住宅を取得する場合、連帯債務者として奥さんが名前を連ねます。購入時は「収入合算によってお目当ての高額物件が手に入るなら」という気楽な気持ちで連帯債務者になりますが、それなりの責任が生じます。

連帯債務者は「主債務者と連帯して債務を負う人」です。要は借りた人とまったく同じ支払い責任があるのです。

仮に3000万円の住宅ローンを組んだ場合、夫が主たる債務者で妻が連帯債務者だとします。夫にはもちろん3000万円の返済義務がありますが、連帯債務者の妻にも同じく3000万円の返済義務が生じるのです。連帯債務者は最高の信頼関係を持つパートナーということになります。2人で力を合わせて借金を返済していくのですから、夫婦愛がなければ成立しません。

離婚する場合、この「連帯債務者」のパートナー関係は解消できるのか否か。残念ながら、連帯債務を解消することは難しいのです。なぜなら、この契約は夫婦間のものではなく、対金融機関と結んだものだからです。金融機関からすれば、「離婚」しようがおカネを返してくれさえすれば、いいのです。

では、一般的に離婚時の住宅ローンの連帯債務者を解除するには、どのような方法があるでしょうか。

主に以下の5つの方法がありそうです。

? 住宅ローンを借り換える

離婚後、夫婦のどちらかがその家に住み続ける場合、住み続ける人が新たに住宅ローンを組み「借り換え」をします。しかし、その際、残債金額とローンを組む人の年収が問題になります。仮に、離婚時に妻が会社員を辞めていた場合、パート収入程度では「妻名義」で住宅ローンを組むのは難しくなります。元夫が代わりに住宅ローンを組むのも厳しいでしょう。

? 代わりの連帯保証人を連れてくる

たとえば、親戚に理解ある資産家がいて「この伯父を新たな連帯保証人に」とすれば、金融機関も納得してくれるかもしれません。ここのポイントは「金融機関が納得してくれる人物」です。しかし、これはかなりのレアケースといえるでしょう。

? 住宅ローン相当分の固定資産を担保として金融機関に提供する

提供する「固定資産」の資産価値がいくらあっても、あくまでも借入先の金融機関が「納得する価値がある担保」を提供できるかどうかです。

? 離婚しても「連帯債務者」としての関係を継続する

選択肢としてはありですが、オススメできません。信頼関係がなくなった者同士が連帯債務者として関係を維持するのは厳しいでしょうし、別のパートナーと再婚の可能性もあります。前のパートナーとの間に連帯債務の関係があるのはトラブルの元です。

? 自宅を売却してローンを返済する

これがいちばんスマートです。ローンを返済して余ったおカネは財産分与することができます。

残債が売却価格よりも多くなると自己破産のおそれも

家という資産は2つにきれいに割れないので、ここはやはり売却をして返すものは返して、残りをわけるのが最も丸く収める方法ではないでしょうか。

しかし、多くの人にとって住宅ローンは「一生涯かかって返す借金」ですから、なかには離婚時の残債が多い人もいます。特に住宅ローンの返済当初は「元金の返済」の割合よりも「利息部分」に充当される割合が大きいので、仮に売却できたとしても、よほど資産価値が高く、高値で売れる物件でないかぎり、オーバーローン(不動産評価額がローン残債金額を下回り売却してもローンを完済できない)になる可能性もあるのです。

特に購入後5~10年くらいは「こんなに元本が残っているの」と驚く人が多いようです。そんなときは、「任意売却」という方法で売却をします。任意売却は、収入の減少で住宅ローンが支払えなくなったときや離婚時の売却でオーバーローンになったときに、任意売却ができる不動産会社と融資をしている金融機関の間で売却を進めることです。メリットは競売にかけられるよりも高値で売ることができる点です。ただし、残債の支払い義務(金融機関との交渉で少ない月額での支払いが可能)は生じます。しかし、この場合、残債が支払えないと自己破産しないといけない事態も避けられないので、慎重に進めないといけません。

連帯債務と似て非なるもので、「ペアローン」があります。ペアローンは、夫婦それぞれ別の債務者となるので、1つの住宅に対して2つのローンを組むことになります。とはいえ、離婚後、家を半分にわけられないのは、結局、連帯債務と同じです。やはり平和的に解決するには、売却をしてローン残債を支払い、残りを財産分与するのがベストでしょう。

ただし、お子さんがいて、生活環境を変えたくないという理由で、どちらかがその家に住む場合は問題が発生します。ペアローンは「夫婦共有」名義ですが、ペアローンの返済中は「名義変更をする場合には、金融機関の承諾が必要」となる場合が多いからです。

「とりあえず離婚」だけは避ける

もし違反した場合は「一括返済」のリスクもあります。離婚により、どちらかの名義にするのは厳しいでしょう。住宅ローンの借り換えも難しいので、離婚時にはリスクがとても大きいのです。ペアローンはたくさん借り入れできるのが魅力ですが、経費も2倍になるので、もしこれから家を購入する方は、十分検討してください。

このように、離婚時の財産分与はとても面倒で、精神的にも苦しく、ついつい後回しにしがちです。また、離婚後2年は財産分与の請求ができるからと、「とりあえず離婚」という道を選んでしまう方もいます。しかし、やはり離婚前にしっかりケジメをつけておくべきです。特に、家の問題は離婚後に処理するのは、大きなトラブルの元です。人生100年、離婚後の人生も長いですから、いくらでもやり直しはできると思います。ですから、きれいに終わらせておきたいものです。

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