住宅ローン「退職金で一括返済は大損」かもしれない こんな逆転の発想もあるのか | 住宅ローンが払えない.jp

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住宅ローン「退職金で一括返済は大損」かもしれない こんな逆転の発想もあるのか

住宅ローン払えない管理人です。

借りたカネは返せ。万が一のリスクに備えよ。がんは恐ろしい。財産と葬式代を遺そう。他人は「常識」を振りかざしてこう助言するが、大きなお世話だ。発想を転換すれば、老後の生活は怖くない。

現金が一番大事

借りたカネは耳を揃えて返す――そんな「常識」から、マイホームの住宅ローンは定年時の退職金で完済することが当たり前と考えられてきた。それは本当に正しいのか。

実は、住宅ローンは「繰り上げ返済」しないほうがいい。そんな「逆転の発想」を提案するのは、ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓氏だ。

「かつては30代で金融機関からおカネを借りて住宅を購入。25年、30年のローンを組み、繰り上げ返済で借り入れの期限前に完済する人も少なくありませんでした。仮に定年までに完済できなくても、退職金で一括返済する人が多かった。

当時は子供を公立校に入れるのが一般的で、今ほど教育費がかかりませんでしたし、給料も年齢とともに増えていったから各家計に預貯金がそれなりに貯まっていた。退職金で残債を一掃しても問題がなかったのです。

しかし、今は時代が違います。50代でも貯金がほとんどない家計が3割になっているのが現状。以前と経済状況がまったく違うのですから、昔と同じようにやろうと思うのは大きな間違いです」

たしかに結婚年齢や夫婦に子供が生まれる年齢は遅くなっている。今の時代、55歳で子供がまだ大学生というケースは、よくある話だ。リストラにあって再就職を余儀なくされ、給料が減っている家庭もあるはずだ。

それでも住宅ローンがまだまだ残っている人も少なくないだろう。だったら、わざわざ繰り上げ返済をすることなどない。

内藤氏が続ける。

「たしかに繰り上げ返済で借り入れ金額が減れば、気持ちは楽になるでしょう。住宅ローンは金利がかかるため、それ以上の利回りで運用できないのであれば、返済に充てたほうが運用と同じ効果が得られるという意見も、間違いではありません。

ただし、退職金で住宅ローンを完済できたとしても、これからますます長寿社会になることを考えると、手元に現金がなくなるようなことはするべきではありません。

資産としてマイホームがあったとしても手元に現金がなければ、急な病気で入院するときに困ったり、介護が必要になった際、リフォームをしたくてもできなかったりします。

『退職金で完済』が正解だったのは、定年後の生活を預貯金と年金で十分まかなえる、幸せな時代だったからなのです」

現在の低金利なら完済を急ぐよりも、手元に現金を確保しておくほうがリスクに備えるという観点からも安全だ。

ほとんどの住宅ローンには「団体信用生命保険」(団信)がついており、仮に完済する前に債務者(多くの場合は夫)が亡くなったら、その後の支払いは免除となる。

つまり、住宅ローンには「生命保険」としての役割もあるわけで、万が一の際、退職金で一括返済していれば、大損する。逆に定年退職後、早々に亡くなったら借金はチャラになり、妻や子供に家と退職金を残せるわけだ。

ローンを完済したマイホームがあれば、仮にカネに困ったときは売却して現金化すればいい、という意見もある。理屈としては正しそうだが、そう簡単に物件が売れる時代ではない。

「これからは人口がどんどん減っていきます。すでに空き家が社会問題になっている中で、あなたの自宅を買ってくれる人がいるのか、そこは冷静に考えてください。

子供が『将来住みたい』と言うような家でない限り、少なくとも希望する価格では売れないと思って間違いありません。

急に現金が必要になってから売ろうとしても、足元を見られて買い叩かれるのが関の山です。理屈として正しいことも大切ですが、現実を想像して判断すべきだと思います」(内藤氏)

今からローンを組むもよし

もし、あなたが賃貸物件に住んできて、現在、住宅ローンを抱えていないのならば、これから住宅ローンを借りて家を買うという「逆転の発想」もある。55歳を過ぎてから借金なんて、と眉をひそめる向きもあろうが、むしろこちらのほうがお得なのだ。

実際に自宅を購入した都内在住の会社員、羽田康史さん(55歳・仮名)の話を聞こう。

「結婚以来、ずっと賃貸で暮らしてきましたが、昨年初めて自宅をローンで購入しました。私には子供が3人おり、教育資金が必要になるのがわかっていたため、これまではローンを組むのは危険だと考えてきたのです。

また、5人家族用の家を買っても、将来、妻と二人で住むには広すぎることは目に見えていましたので、大きな家を買うことは、老後の人生に重荷になるかもしれないと思ってきました。

しかし、子供たちも無事に全員独立して、広いスペースはもう必要ありません。高齢になったら、賃貸物件を借りられないリスクもある。そう考えて、小さなマンションを購入しました」

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購入価格は3500万円。現金で買うこともできたが、10年間、ローン残高の1%(最大40万円)が毎年戻ってくる「住宅ローン控除」を受けるために、羽田さんはローンを組むことにした。

借り入れ金額は2500万円で、期間は20年間(10年間は固定金利)。毎月の支払い金額は11万円で、これまでの家賃よりも2万円安くなったという。

「退職金と年金の金額は確定しましたが、繰り上げ返済をすることは考えていません。ローンが終わる75歳よりも前に死んでしまうと、借金はチャラになるのだから焦って返す必要もない。

とりあえず65歳までは今の会社の再雇用制度で働いて、現金を手元に貯めることにします」(羽田さん)

55歳から家を買うという羽田さんの「逆転の発想」を、前出の内藤氏は評価する。

「50代後半でマイホームを買うこと自体に不安を感じる人がいるかもしれませんが、それは間違い。むしろ若いときは転職や倒産に遭遇する可能性は高いですし、子供の教育費がいくらかかるかもわかりません。

そんなときにローンを組んで負債を固定してしまうことのほうがリスクは高い。

子供が独立した後であれば、小ぶりの住宅でいいため、価格も安くて済みます。当然、借り入れ金額も少なくて済む。そうした点を考えると、羽田さんの選択は合理的だと言えるでしょう。

55歳を過ぎて銀行が融資をしてくれるのかと心配する方もいるかもしれません。しかし、たとえ65歳でも、銀行所定の年齢までに返済するスケジュールなら借りることは可能です。

会社に長年勤めてきて、退職金や年金をもらえることがはっきりしている場合、貸し倒れリスクは低いと言えます。ただし、団信加入が前提なので、健康には気をつけてください」

借金を早く返したところで、金融機関の儲けを確定させるだけ。住宅ローンは慌てて返すな、が正解なのだ。

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