住宅ローンが払えない.jpの管理人です。
今回は相続放棄で所有権が宙に浮いてしまった不動産を
任意売却するケースです。
小林さん(50歳・女性)
職業:飲食店パート勤務
年収:150万円
備考:5年前に夫が借金を苦に自殺。夫の借金1000万円について、
連帯債務者になっていたので、毎月2万円ずつ返済していた。
小林さんの夫(享年50歳・男性)
職業:土木会社社長
備考:土木会社を経営していたが、5000万円の負債を抱えて自殺した。
負債の内3000万円分は会社名義の借金だったので、
会社が倒産すると同時に消滅したが、
2000万円は妻である小林さんが連帯債務者となっていた。
物件とローンの詳細
住宅のタイプ:新築一戸建て
毎月の返済額:2万円
任意売却の残債:2000万円
備考:小林さんと夫が所有権を半分ずつ保有していた。
夫の死後、通常は小林さんが夫の持ち分を相続するところだが、
借金の相続を避けるため相続放棄した。
小林さんは夫とともに土木会社を経営していました。
業界全体が下降するなか、会社の負債が膨らみ、
代表の夫は、借金苦で5年前に自ら命を絶ちました。
当時、会社の借金は5000万円にのぼりましたが、
夫の死後、一時的に社長の座についた小林さんが弁護士を入れて、
会社を清算したため、3000万円の借金は消滅しました。
残りの2000万円は小林さんが連帯債務者になっていたため、
夫の死後も支払い続けねばなりません。
飲食店でパートとして働きながら、小林さんは毎月2万円ずつ返済を続けました。
2000万円の負債には利息が14%もあったため、債務は膨らむばかりです。
10年間その状態を認めてくれた金融機関も、それでは埒が明かないと考えました。
小林さんに一括返済を求める通知を送付してきました。
2000万円を一括返済する資金は小林さんにはありません。
財産と呼べるのは居住している住まいだけなので、
自宅を売却するのが唯一の返済方法でした。
そこで小林さんは自宅を売るため、複数の不動産会社に声をかけたのですが、
どの会社も売却は不可能とする回答でした。
小林さんの住まいは権利の半分が宙に浮いた状態だったため、
法律に詳しくない不動産会社にとって売却の進め方がわからない物件だったのです。
自宅を購入する際、小林さん夫妻は自宅の所有権を分け、
それぞれが半分ずつを保有する事にしたのです。
夫が自殺した際、本来なら夫の持ち分を相続するつもりでしたが、
多額の借金まで相続する事になってしまいます。
小林さんは相続放棄を選択したため、自宅の半分は宙に浮いた状態となりました。
誰も権利を持っていない不動産をどうやって売却すればいいのか、
ほとんどの不動産会社は知らないのです。
弁護士等の法律関係者なら方法は知っているかもしれませんが、
債権者と交渉しながら不動産を債務者のニーズに応じた形で、
適正に任意売却を成功させる調整能力は通常ないのです。
どこに相談しても売却不能と言われた小林さんの物件を売却する方法を、
次回以降で解説していきます。